二.ずっと一緒にいられたらいいのに、とか思うのは、気のせい

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梅雨が明けると霜山先生のお仕事が忙しくなったらしく、 まだゼミに所属していない私も借り出された。 ……というか、ゼミの人間以上にこき使われた。 霜山先生の専門はロボット工学で、 特に制御プログラムの開発をやってる。 私はお父さんの影響で、 中学校に上がる前からそういうことをやってて、 人並み以上に詳しかったりする。 しかも、お父さんと霜山先生は大学時代からの友人で、 家にもよく出入りしてたから、 いろいろ教えてもらったりしてた。 そういう訳で。 大学は霜山先生のいるとこ選んで進学したし、 入学前から研究室には出入りしてた。 おかげでこういうとき、こき使われる羽目になる。 「おーい。開けろー」   ドアを叩く音とともに、来嶋の声がした。 「……なんか、用?」   データの入力に集中してたとこだったから、 私の機嫌はすこぶる悪い。 「……めし。おまえまた、めし食ってないだろ?」   大きなスーパーの袋とともにやってきた来嶋は、 私の返事なんか待たずにずかずかと部屋に上がると、 キッチンを占領した。
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