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「甘いんだよ。お前が言ってることは甘すぎる。
チュッパチャプスを舐め終わった口の中みたいに甘ったるくてたまんないね」
「チュッパチャプス……」
ガシガシと髪をかき回しながら発せられた言葉に私も糸が切れたようにカクンと項垂れた。
やっぱりフジにも分かってほしいなんて甘えでしかないのだろうか。
気を抜くと涙が込み上げてきそうになって私は歯を食いしばった。
でも、そんな私に歩み寄りながらフジは更に話を続けた。
「甘い上にツッコミどころも満載なんだよ。
相手の気持ちも確認しないまま先走ってるところとか、簡単に養うなんて言葉口走ってるとことか……。
今のお前にできることなんて本当にちっぽけなことでしかないのにそれをちっとも分かってねーし……
……それなのによーーー」
フジがものすごく躊躇いがちに口にした最後の5文字に私はゆっくりと視線を上げる。
「そ、それなのに…?」
最後まで顔を上げて、バチッとフジと目が合う。
フジは私と目が合った瞬間に苦々しい笑いを浮かべて吐き出すように言った。
「それなのに…お前の言ってること全否定することは出来ねえ」
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