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そして理事長室を出た浅生誠一はというと、道に迷っていた。
理事長から説明も受けていたのだが、あまりの恐怖でほとんど頭に入っていなかった。
「ここは何処だ?・・・まさかこれほどまでに複雑な作りになっているとは・・・まさかトラップか!?いつの間にか敵の罠にかかってしまったのか!!俺としたことがすっかり気を抜いてしまっていた・・・これからどうしたものか・・・」
浅生誠一は立ち止まりぶつぶつと一人ごとを言い校内の地図を広げた.
内心は相当心細いのであろう、薄らと涙を浮かべていた。
その光景を後ろで見ていた少年が近づいてきたが、浅生誠一は全く気付く様子はない。
「ねえ君さ~。さっきからこんなとこ立ってなにしてんの?その手に持ってるの案内図だよねぇ?何処に行こうとしてたの?」
いきなり声をかけらたからか、浅生誠也はびくりと肩を跳ねさせ振り向いた。そして少年の顔を見てほっとした表情をして答えた
「自分の部屋・・・来たばっかで良くわからなくて・・・」
浅生誠也は余程不安だったのかお得意の厨二発現を忘れて答えていた。
その少年はヘラっと笑い浅生誠一の頭をポンポンとたいた。
「ふーん・・・俺が連れて行ってあげるよ~。部屋の番号は?」
少年にそう言われ浅生誠一が部屋の番号を伝えると少年がこっちだよと指さし歩き出した。
浅生誠一は、まるで叱られた後の子犬のようにシュンとしながらついていく。
「来たばっかってことは君が転校生?」
少年の質問に浅生誠一は頷く。
「そういえばさ~!さっきトラップとか敵って言ってじゃん?何の話してたの~?」
少年の言葉に浅生誠一は口をひらく
「俺はこの学園に潜む敵を探りにきた者だ・・・だが来てそうそう・・・敵のトラップにはまり迷宮という迷路の中に閉じ込められてしまっていたんだ・・・
そういえば名前を聞いていなかったな・・・俺はルシェル・・・お前は?」
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