第1章

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ある先輩と友人の話をしようと思います。その話は先輩の友人が交通事故により死亡し、その葬儀の帰り道のことでした。先輩は道を歩きながら友人の話をしてくれました。 「あいつは、七人岬につれていかれたんだ」 私は聞き覚えのない名前に小首を傾げながら聞きました。『しちにんみさき』とはなんですか? 「妖怪だよ。七人の罪人の集団で、出くわすと連れて行かれて、その中の一人が成仏するが、永遠になくなることはない。七人という縛りはずっとループし続けるんだからな」 先輩はそう言いながらガタガタと震えていました。何か後ろ暗いことがあるのかもしれませんが、私には聞くことができませんでした。 あとから聞いた話ですか。先輩と友人は休みを利用して釣りに出かけたそうです。先輩と友人は、釣りを趣味しており私もついていくことが多かったのですが、その日はボウズ、まったく釣れずにかなり鬱憤がたまっていたそうです。 その帰り道、車のアクセルを全開にしながら帰っていたそうです。車道は田舎の道だったので、通りかかる車もほとんどなくボウズの鬱憤や釣りの最中に呑んだお酒のアルコールも手伝ってどんどん速度を上げていき、そして、道の真ん中に七人の人影を目撃、ブレーキを踏んだときには間に合いません。車を運転する人は知っているかもしれませんが、車というのはなかなか止まれないのです。速度を上げれば、上げるほどその危険度は上がっていくのです。 七人いたうちの二人を轢いてしまい、そのうちの一体は赤子を背負っていたらしく、その背中からオギャーオギャーと赤子の泣き声が聞こえてきたそうです。 轢いたことを焦った先輩と友人は、ろくに確認することなくアクセルを全開にして立ち去ってしまったそうでした。 その日から友人の周囲で赤子の泣き声が響くようになったそうです。四六時中、ほとんど毎日、ノイローゼ気味になっていた友人は車の運転中、よそ見運転で大型トラックと衝突、即死だったそうです。偶然、その場に居合わせた先輩はその周囲に古ぼけた装束を着た五人の男達が、友人を加えて六人となりシャン!! シャン!! と錫杖らしき物を鳴らしながらギロリと先輩を睨みつけたそうです。 先輩は恐ろしくなりその場から逃げ出したそうですが、その姿が昔、漫画で読んだ七人岬にそっくりだったので私にむかってそう言ったのでしょう。 先輩は葬儀の日からシャン!! シャン!! と
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