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「少し老けた気がする、私」
帰り道、こっちを向かずに彼女は小さく呟いた。
「考えすぎだよ」
駅前を少し離れただけで、灯りの数が大分減る。
月明かりと頼りない街灯が照らす道は、いつも静かで。
「……ねえ」
僕の右手を強く握り締める、彼女の左手。
「若い子に行っちゃ、ダメだよ?」
不思議な気持ちだった。
たぶん、こんな事を言っている彼女だってそうだろうな。
「お子様に興味はないさ」
僕の言葉に彼女は笑ったけれど、そう簡単に不安は消えない。
真逆に加速していくお互いの変化に、不安は消せない。
『同級生とか幾らでもいるだろうに。変な奴だな、お前』
『私、お子ちゃまには興味ないの』
痛い程気持ちが分かるから、僕は彼女の左手を強く握り締めた。
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