星の海の司書神様

2/7
前へ
/15ページ
次へ
 創造神試験。簡単に言えば、神が創造神になるための就職試験である。  まず、その試験の話の前にだ。神になれる者にはどのような存在がいるかを説明しておく必要がある。  一つ。親が神様。創造神試験を受ける奴はこれが一番多い。最初から高い神格(しんかく)という神に与えられる階級を持ってる。所謂七光りエリート。今の天界の創造神がこれだな。親の七光り――とか言ったら俺が殺される。  一つ。人間界で徳を積む。所謂英雄って奴だ。しかも努力型。正直みんな憧れるレベル。尊敬の眼差しがヤバイ。オーラが出てるからすぐわかる。死んだ瞬間その積んだ徳に応じた神格が得られる。元々人間だった頃の記憶を持っている奴が多く、人間に関わろうとする奴が多い。これはいい事とも悪いこととも言えないが。  一つ。よくわからないけど神に気に入られて勝手に跡継ぎにされる。最近は結構あるらしい。こっちが生まれる前から目をつけられてるとか怖すぎだろ。俺たちの事情も考えろ糞野郎共。これは先代の神の力は持ってはいるが至って普通の人間過ぎる。上記二つとの圧倒的格差が酷い。通称成り上がり。もちろん神格はワーストクラス。  わかっているとは思うが俺はその成り上がり。先代神は一応創造神の一柱だが、糞怠惰で適当野郎だったからさあ大変。人間だった頃の記憶ももう既にうろ覚えで、とにかく神格を失わないように良い職につこうと創造神試験を受けたのだった――。  試験の内容は覚えていない。緊張して頭の中が真っ白だったとかそういうことではなく、 後に続く神たちに試験対策させないように記憶を奪うんだそうだ。  でも、「なんだこれ対策もクソもねーじゃねーか!」と戸惑った記憶はある――と、そんなどうでもいい話を長々してる場合じゃねえんだ。  結論から言おう、俺は創造神試験に落ちた。まあ人気も高いしね。俺スキルとか全くないしね。コミュニケーション能力もないしね。第一――まあ、これは後で話そう。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加