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と、しょっぱなから長々とクソみたいな前置きをしたが、創造神試験に落ちた俺は途方に暮れている。
このままだといつか神格を失って存在が消えちまう。神様の世界っていうのは結構シビアなのさ。
一人項垂れ、神の住む天界の下にキラキラと広がる星の海を眺めていた俺に向かって伸ばされる先代神の白い手。この人が俺の神様かと思ったね。いや実際人間だったころの俺の世界を作った神様なんだけど。
「君にぴったりな職場はない」
前言撤回。やっぱりこいつは俺にとっての悪魔だ。魔神だ。魔王だ。クソめ。
「ははは、そう目を剥くな。君にぴったりな職場はない。……ないが、人手不足のところを紹介することはできる。私も跡継ぎが神格を失って消滅するのは見るに堪えない」
クソとか言ってすみませんでした。貴方様は神様です。あ、神様でした。
「まあ、君みたいなのはすぐやめてしまう職場かもしれんがね」
やっぱ一言多いんだよクソめ。まあ、先程の言葉は彼女(彼? 今だに先代神の性別がわからない。ここでは俺の願望として彼女として記す)の本心なのだろう。
先代神に連れられて辿り着いた先は、雪に覆われた古びた白い大きな四角い建物。ここが俺の職場になるのだろうか。何をするのかすら聞かされていない。聞いても彼女からははぐらかされるばかりだ。
「やあ、新しい司書神(ししょがみ)を連れてきたよ」
入った瞬間、むせ返るような古い紙の臭いとそんな言葉。新しい司書神? それに部屋一面に広がる本棚と、カウンターらしきもの。これはアレだろうか、薄っすらと人間だった時の記憶を絞り出す。
そうか、わかったぞ。ここは図書室だな。
「図書館だ」
すぐさま先代の訂正が入る。仕方ないだろクソが。ふざけんな、こっちは人間の時の記憶なんてほとんどないんだぞ、お前のせいなんだからなクソ野郎。ああ恥ずかしい、消えてしまいたい、クソ。
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