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【noir(ノワール)】 人の言葉を喋る黒猫【ノワール】は人間からは気味が悪いと石を投げられ、同じ猫たちからも非難されいつもひとりぼっちでした。 そんなノワールが出会ったのは、同じく人の言葉を理解し、同族から嫌われる白い鴉。 彼は名前がないという彼女に【ヴァイス】と名前をつけました。  やがて一匹と一羽は人が寝静まった夜にだけ月が照らす丘の上で落ち合い、共に遊ぶようになったのでした。  しかし、ある日を境にヴァイスは丘に来なくなってしまいました。■■に■■されてしまったのでしょうか。ノワールは心配になりましたが、人間から石を投げつけられるのが怖くて人間の街には近づけません。  臆病でのろまな彼は彼女を待ちづづけます。いつの間にか白かった月は紅く染まってしまいました。  人々は■■■の■■だと言い、紅く染まっていく月に不安を募らせます。  丘に広がる草原で、一人彼は紅く鈍く光る月を見上げていました。  彼を迎えにくる者はもう、この世界のどこにも存在していないのです。 end.
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