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しかし、アタシは男がらみのトラブルを繰り返していると言うことなどおかまいなしに、男をとっつかえひっつかえばかりを繰り返して来ましたので、アタシはひとりの男性を愛し通すことができなくなっていたのでありました。
その間にも、アタシはすっかり変わり果ててしまいました。
髪の毛はやや赤色に染めまして、ほがそ(ボサボサ)になっていまして、メイクはどぎつい色のアイシャドウとマゼンタのリップをつけまして、先のとがったマスカラをつけまして、ナイトドレスは背中がぱっくり開いて、キラキラのかざりがついているノースリーブを着るようになりました。
注文する料理は、ギンギンに脂ぎったメニューを選ぶようになりまして、お酒はきつめのジンでもハイボールでもバナナフィズでも…何でも好むようになりまして、たばこはメビウスのメンソールをくゆらせていたのでありました。
アタシは公園のベンチに座りまして、メンソールをくゆらせながら歌を歌っていました。
アタシは、夕暮れの海をながめながら小声で浜圭介先生の作曲でたきのえいじ先生の作詞の歌『瀬戸歌』を歌っていました。
アタシは…
もういくつになったのかな…
アタシは今…
何をしているのだろうか…
アタシはこの時、45歳になっていましたが、各地を転々とする放浪人生ばかりが続いていましたので大人になることはできませんでした。
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