10人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁーーー、疲れたぁ・・・」
車が走り出して、すぐ、大石はネクタイを緩め
かったるそうに肩を回す。
ずっと浮かべた作り笑いを全て捨て去ったらしい。
細めハーフリムの眼鏡の奥に移る瞳に
怒りの炎を浮かべて、秘書は忠言する。
「先生、お客様がまだ・・・」
ん?、と大石は水のペットボトルを片手に聞き流す。
「キャク、じゃなくて、広告代理店の人だろ?
まあ、いいじゃん。支援者じゃねーし・・・。
君たち、江戸川区じゃないね?」
ええ、と頷く歩と恐る恐る、小さく頷く貴子。
よしっ!、と大石は笑う。
「問題なしっ!!!」
「センセイッ」
いいじゃん、と大石は取り合わない。
「そもそも、この人たち、俺の素顔、見に来たんでしょ?」
最初のコメントを投稿しよう!