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  沢山の顔、沢山の表情がその笑顔に隠れている。 ・・・貴子にはそんな気がした。 彼にとって必要な表情を選ぶことは仮面を選ぶことに 似ているのかもしれない。 彼は一般の人が手に入れることの出来ない多くの物を 得ることができる。 だが、その代わり 本当の自分で生きていくことだけは出来ないのかもしれない。 自分の操縦する飛行機で世界を回りたいと言った時 大石の顔はとても悲しげに見えた。 人は夢を話す時、きっと、一番笑顔が輝くはず。 でも、彼にとってそれは悲しくなることなのだ・・・。
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