10人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも、歩が困る姿は見たくない・・・。
必死に目を走らせ、糸口を探す。
次第に震え始めた指先を歩が掴む。
「貴子、落ち着いて・・・。大丈夫。」
穏やかに微笑む歩に貴子は目に涙を浮かべる。
「・・・・・・ごめんなさい、私・・・」
いいのよ、と歩は貴子の肩を抱いて、慰める。
歩にはいつも助けてもらってばかりなのに、
こんな時でさえ、役に立てない。
俯く貴子に、とにかく、と歩が仕切り直す。
「まず、貴子にある程度、イメージの湧く人を選んでもらって
その他の人には再度、調整しましょう。
人数を絞らなければ、そもそも、納期に間に合わない。」
確かに、と藤谷も頷く。
「製本ギリギリを見込んでも、後4か月半くらいしかない。
・・・まあ、彼らにアンケートを書いてもらって
描いてほしいモノとモチーフを指定してもらう。
その上で、貴子ちゃんに描いてもらう、位かなぁ・・・」
貴子は役に立てることに意気込んで頷く。
「それなら、描けるかもしれません。」
最初のコメントを投稿しよう!