3/8
前へ
/40ページ
次へ
  それでも、歩が困る姿は見たくない・・・。 必死に目を走らせ、糸口を探す。 次第に震え始めた指先を歩が掴む。 「貴子、落ち着いて・・・。大丈夫。」 穏やかに微笑む歩に貴子は目に涙を浮かべる。 「・・・・・・ごめんなさい、私・・・」 いいのよ、と歩は貴子の肩を抱いて、慰める。 歩にはいつも助けてもらってばかりなのに、 こんな時でさえ、役に立てない。 俯く貴子に、とにかく、と歩が仕切り直す。 「まず、貴子にある程度、イメージの湧く人を選んでもらって その他の人には再度、調整しましょう。 人数を絞らなければ、そもそも、納期に間に合わない。」 確かに、と藤谷も頷く。 「製本ギリギリを見込んでも、後4か月半くらいしかない。 ・・・まあ、彼らにアンケートを書いてもらって 描いてほしいモノとモチーフを指定してもらう。 その上で、貴子ちゃんに描いてもらう、位かなぁ・・・」 貴子は役に立てることに意気込んで頷く。 「それなら、描けるかもしれません。」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加