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  「そんなの、ダメです。意味がない。」 きっぱりと否定する歩に戸惑い、 貴子は歩を見つめる。 歩は藤谷を見ていた。 「彼らが気に入ったのは、貴子の優しい絵だけじゃない。 花のモチーフでも、もちろん、ない。 本質を見つめる目、です。 この子は見たままを、その本質をその眼に映し出す。 それは誰にも負ける事のない、この子の才です。 彼らのほとんどが表現者なんです。 彼らはそれに惹かれるからこそ、貴子を指名した。 好きな花、色、モチーフでデザインしてほしくて 貴子を指名した訳じゃない。 貴子の目に映る自らを知りたいんです。」
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