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  貴子は親友の買い被りに慌てる。 だが、あろうことか、藤谷まで納得してしまう。 「まあ、ね。そうだろーけど、さ。 でも、じゃあ、同時に そもそも、知らない人間を見極めるほど 貴子ちゃんが知る機会がない、いや、作れない。 時間もない。 さて、どうする?」 当然の返しに歩は黙り込む。 貴子は慌てた。 「・・・待って下さい。違うと思うのです。」 「?」 真剣な二人の眼差しに貴子は動揺しつつも 必死に言葉を続ける。 「・・・あ、あ。あの、きっと、皆さん そんな深い考えは持ってらっしゃらないと・・・。 私が描いた絵がきっと、素人目線で、 物珍しかったんだと・・・。 だから、籐谷さんがおっしゃる通り アンケートで聞いて下されば、私にも出来そうです。 ・・・そもそも、私にそんな大層な才能は・・・」
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