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  貴子・・・、と歩は悲し気に呟き、 何かを言いたそうにしたが、飲み込んだ様子だった。 歩の辛そうな顔に貴子が首を傾げ、心配すると 藤谷がさっぱりとした口調でいった。 「では、僕たちも見る目がない、と言う事かな?」 どうしてそうなるのか、と貴子は慌てる。 いつもはおどけた様子の藤谷の顔からそれらが一切消え、 真剣な表情に貴子は魅了されるようだった。 「だって、そうだろ? 僕もあゆも君にその才を見出している。 いや、惚れこんでいる。 ここに名を連ねる者たちもまたそうだ。 皆、アーティストであり、表現者だ。 することや目的は違っても。」
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