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  申し訳ありません、と萎れる貴子に藤谷はようやく微笑む。 「謙虚さは日本人の素晴らしい美徳だと思う。 謙虚を美徳とする考えが文化的に根付いた日本は美しい。 僕はそんな風に自分を貶めてまで、人をたてようとする 君たちの、人を思いやる心が愛しい、と思う。 だけどね、過ぎた謙虚さは君だけでなく 君を愛し、信じる者たちをも貶める。 それを忘れないでほしいな。」 「はい・・・。ごめんなさい・・・」 それまで、黙って聞いていた歩は貴子の手を優しく包み 見上げた貴子に穏やかに微笑む。 誰より自分を信じてくれたのは歩だった。 いつも歯がゆい想いをしていたかもしれない。 ごめんね、と貴子が心配そうに言うと 歩は満面の笑みで、いいよ、と笑った。
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