まずは、僕らの日常を少し

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 今日は仕事終わりが比較的遅めになって、帰宅したのは夜の八時前。  強い北風も和らがない、冷える夜になりそうだった。 「おう、間に合ったな」  ジャケットを脱いで家に入る僕を出迎えてくれた声の主は、奥のキッチンで仕込みをしていたらしい。  手早く着替えればいいのに、体にぴったりとしたサイクルウェアのままお玉杓子を手にしている。 「夕食、もうできてるの?」 「水炊き。早いし簡単だ」 「水炊き?」  まさか、知らないのか――と、目を見開いて呻いたやつに頷いてみせた。 「只今ー」  この時、寒ーい、と声を上げながら入ってきたのは、唯。 「お帰り、唯」 「只今、アンド、二人共お帰りなさい。ご飯先に作ってくれたの?」  ありがとう、と喜びを隠さない唯の頬にキスをするあいつ。
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