イグニッション

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イグニッション

 次ぎの朝、 教室に入るなり僕が声をかけるでもないのに、 ミウとアユタが寄ってきた。 あいさつもそこそこに二人とも思いつめた顔をして、 僕を見つめた。 僕も二人を見つめ返した。 「ドームおじさんに会いに行こう」  二人は僕の言葉を覚悟していたようで、 アユタが直ぐに訊いてきた。 「いつ行く」  僕が返答に少し迷っているとミウが言い切った。 「今日に決まってるでしょ!」  ランドセルを背負ったままの僕らを見ておじさんは、 玄関のドアノブを握ったまま固まっていた。 昨日の今日で僕らが訪ねて来るとは思ってもいなかったようだった。 僕は驚いているおじさんの口が開くのを待たずに言い放った。 「エレンに会わせてください」 「お願いします」ミウとアユタもと深々と腰を折った。 あまりにも頭を下げすぎてカブセのフックがはずれていたアユタのランドセルから、 教科書やノートや筆箱がアユタの頭の上をすべって落ちた。 「わかった。 会いに行こう。 約束するよ。 もうウソはつかない」  僕らの決意が通じたのか、 おじさんは理由を尋ねることもなく簡潔に応えてくれた。 訪ねる日を後で必ず連絡すると付け加えた。  その日の夕方だった、
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