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神戸たちの乗った飛行機が新千歳空港に着陸した。
北海道。 面積83,457,48平方㌔、人口約544万人、日本最北端の島を有する広大な土地である。
北海道での神戸の第一声がこだまする。
神戸
「空気うめぇぇぇ! 東京の澱んだ空気とは格別に違うな~」
続けて松永が言う。
松永
「まあな、ところで今からどこに向かうんだ?」
神戸
「しおりに書いてるだろ? 多分」
松永
「あ、そうか。 どれどれ」
松永は手持ち用の鞄の中から少しシワの付いたしおりを取り出した。
松永
「あったあった。・・・それにしてもこの表紙の絵って上手いよな」
松永は修学旅行のしおりの表紙に書いてあるイラストを見て言った。
神戸
「あ、それ奈美が書いたやつだって。奈美、修学旅行委員だからさ」
松永
「そうなのか!? すげぇ上手いじゃん」
そのイラストは目を瞑った少し背の高い男子と目が開いている少し背の低い女子が背中合わせになっているイラストで背景にはクラーク像や五稜郭が描かれている。
そのイラストを見て松永が言う。
松永
「何か意味深だよなぁ、この絵って」
神戸
「ん~、何か意味があるかもしれないけど俺には分からないな」
松永
「ふ~ん、まあいいや。 それよりこれからどこに行くのか見ないと。えーと、とりあえずバス乗り場だな」
そんな会話をしていると、後ろから声がする。
射手矢
「神戸~、松永~元気だったかぁ?」
神戸
「えっ? 何だ、射手矢かよ。元気って数時間前空港で会ったろ?」
話し掛けてきたのは、射手矢雪彦(いでや ゆきひこ)。神戸や松永が所属しているバレーボール部の部員である。
射手矢
「あれ? そうだっけ?」
松永
「相変わらずの物忘れぶりだな」
さらに続けて見慣れた人影達が射手矢の後ろに見えた。
神戸
「よっ! 奈美。 ついでに芦田も」
小宮山
「達ちゃん!」
芦田
「俺はついでかよ!」
射手矢の右後ろで少し手を振っているのは神戸の彼女である小宮山奈美(こみやま なみ)。
左後ろに同じバレーボール部員の芦田巴樹(あしだ ともき)。
射手矢、小宮山、芦田はいずれも8組。
神戸、松永は9組である。
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