修学旅行へ

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神戸 「皆してどうした?」 その問いに答えたのは、小宮山だった。 小宮山 「どうしたって、8組の一部と9組は同じバスに乗るからだよ。」 神戸 「それもそうか、それにしても大竹と創がいないのはちと残念だな」 神戸が口に出した大竹は3組の大竹永索(おおたけ えいさく)、創は2組の宮城創(みやぎ はじめ)の事であって、いずれもバレーボール部の所属である。 今のバレーボール部は、2年生である神戸、松永、射手矢、芦田、大竹、宮城にマネージャーの向坂凛子(さきさか りんこ)を加えた7人のみである。 芦田 「仕方がないな。あいつらとはバスが違うんだしな。」 芦田がそう言うと同時に金色の腕時計を身につけた引率の五十畑卓三郎(いそはた たくさぶろう)の声がした。 五十畑 「8組の半分と9組は一番右のバスの前に集まれ!」 神戸 「ほら、愛しの五十畑が呼んでるぞ?」 神戸が冗談まじりに芦田に聞く。 芦田 「はあ? 四十過ぎのおっさんだぞ? ぶん殴るぞ?」 神戸 「悪かったよ、そんなにキレるなって~」 芦田 「別にキレてはないけどー」 これがバレーボール部の日常。いつも通りの日常。普通の高校生の日常。 小宮山「ほら、そろそろ行こうよ!」 小宮山が神戸の腕を掴んでそう言った。 神戸 「あ、あぁそうだな」 神戸たちはバスへ向かった。 五十畑 「集まったな?それじゃ、事前に決めた座席に着いてくれ! 忘れた者はしおりに書いてあるので確認するように!」 五十畑の声は耳障りな程大きく生徒たちは小声で悪口を言っていた。 「うるせー」 「地味に声高いのも耳障り」 「もうちょっとボリューム下げろ」 「五十畑の声はノイローゼレベルだわ」 などなど。 神戸は松永に言う。 神戸 「五十畑っさあ、声押さえればもうちょっと慕われるのにもったいないな」 松永 「仕方ない。声ばかりは変えようがないし。 今さら押さえたところでだろ?」 神戸 「そう、か」 松永 「それよりお前トランプ持ってきたか?」 神戸 「ああ、多分な」 松永 「頼むぜ~達哉、俺持ってきてないぞ!バス乗る時間結構あるからな」 神戸 「あるからさっさと乗るぞ!」 松永 「わかったよ」 神戸はバスへ乗り込む。それに松永たちも続く。
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