修学旅行へ

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バスに乗り込む。 神戸の席は後ろから右側の2番目。窓側の席には、小宮山が座った。 ふと、小宮山が呟く。 小宮山 「そう言えば、渚ちゃん残念だったね。一番楽しみしていたのに・・・」 神戸 「・・・千葉は仕方ない。 退院予定日が延長されちまったからな。 こればっかりは俺たちにはどうしようもできない。」 小宮山は少し悲しげに言った。 小宮山 「・・・そうだね」 神戸は小宮山の気持ちを察し、少しテンションを上げた。 神戸 「土産たくさん買っていってやろう!」 小宮山 「うん!」 そうしてまたいつもの小宮山奈美に戻った。 千葉渚(ちば なぎさ)。奈美の幼少の頃からの友人である。千葉は現在、病気と闘っている。何の病気なのかは、神戸たちは知らない。 五十畑 「ほらー、さっさと座れ!」 五十畑の声が響く。 松永は通路を挟んだ左の席、射手矢と芦田は前の席にそれぞれ座った。 五十畑 「それじゃあ! これよりバスは発進する! しおりに書いてある通り、まずは、昼飯を食べに向かう! 途中、一回だけトイレに行ける時間を与えるが、これより40分は出来ないものと思えよ!」 神戸は耳を押さえていた。 五十畑 「よし、それでは出発するぞ!」 ようやく、バスが走り出した。 芦田 「神戸! トランプ!」 神戸 「あるから、そう急かすな!」 神戸は徐にバックからトランプを取り出す。 小岡 「松永、松永」 松永に話し掛けたのは、隣の席の小岡猛(こおか たける)であった。 松永 「何だ?」 小岡 「俺、少し寝るからトイレ休憩の時になったら起こしてくれよ」 松永 「あぁ、OK。 わかった」 小岡 「悪いな・・・」 小岡はそのまま眠りについた。 神戸 「おい、大志! 大富豪やんねーの?」 松永 「おう、やるやる」 神戸たちはバスの中で10分程、大富豪をやった。 しかし、10分後。彼らにその後の記憶は無かった。
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