第13章:愛しのラビリンス-後編-

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「わわ…っ」 優が奈央子を自分の方に引き寄せようとしたが、野城は それに反抗する様に、奈央子の首に、自分の腕を回した。 奈央子の右手を、彼女の腰の位置で掴むようにし、優に渡さない事を態度で示す。 優と野城、二人とも身動きせずに、お互い無言で睨み合いが続く。 二人とも百七十二、三センチ位の身長。身長が同じなら目線も同じ。 一般的には年齢に相応しい体格だが、もしこの二人が殴り合いでもしたら どうなるのだろう… ふと奈央子はそんな事を想像した。 ひたすら無言で睨み合い続けているから、何か嫌な雰囲気を感じたのだ。 オッサンは優の所までやって来て、右腕の腕時計を見てはオロオロとし始めた。 「お坊ちゃま、お車が…。昭仁様が、早くしないと…」 奈央子は自分の手で野城を何とかしようと思い、後ろを振り向いた。 そのつもりだった。背後に体勢を向けた方が、抵抗しやすいと思った。 …だけれど、それを逆手に取って、野城は奈央子を強く抱き寄せ、更に部屋の中へ引き摺(ず)り戻そうとした―…
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