第13章:愛しのラビリンス-後編-

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ハッと三人で同時に後ろを振り向くと、そこには頬をぱんぱんに膨らませたルナが立っていた。 怒りを押さえきれない様子で、肩をワナワナと震わせ 微かに全身をピクピクとさせている。 両手で抱き抱える様にして持っているのは、一体 何をそんなに詰め込んでいるのか パンパンに膨らんでいる、エナメル・ピンクの鞄。 それを、ルナの背後で静止し続けている"ひつじ"にポンッと放り投げた。 それを間一髪で受け止める事に成功した ひつじの様子など今のルナにはどうでも良くて、腕を組み、ゆっくりと三人の元に歩いて来る。 それもそのはず。 目の前で、自分の婚約者が別の女を抱き締めている。おだてられて育った彼女の性格からして一番見たくなかった光景である。 ルナは奈央子が否定しようとするのも束(つか)の間、またしても一歩前に抜きん出た。
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