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「はぁ!? あの魔女の影にいた気の強い嬢ちゃんかい? 冗談はその筋肉だけにしろよ!」
「アイツは使えそうだ。まず船を造るだろ? んで、この島と同様の『結界術』とやらを張り巡らす。そうすりゃ、安全な航海が保証される。バケモンにはバレないし、沈没なんざしないだろうよ」
『精鋭』の船に刻印が施されていたのをクロウは知っていた。ペトは腕を組み唸る。ラックは座り込み動かなくなった。
「でもよ? あの嬢ちゃんは継承者なんだろう? 引っこ抜いていいのか? おまけに気難しいそうな仏頂面してたぜ。あれは頑固だな」
「確かに魔女は今、あいつ含めて二人だもんな……」
クロウは呟いて空を仰ぐ。ペトは考えるのをやめて、なにやら草を編み始めた。
「誰かが魔法を学ぶって手もある」
「それだ!」
ラックは目を見開き、叫ぶ。
「僕が学んでこよう! そうすれば、自分のためにもなる。力も付く! 魔法も使える!」
「だがよ。あの嬢ちゃんでも時間かかっただろうし、10年は『外』は見れねえんじゃねえの?」
「まず、素質ってのを測られるって聞くしなぁ。ラック、お前にはある気がするけどさ」
木の葉船を作ったペトは、立ち上がり背伸びする。
「天性の何かがあるよな。それを生かすか殺すか、ラックしだいだ」
水面に浮かべられた木の葉船は、水流に乗り流れていく。
「お前ら、過大評価だろ?」
「そうは思ってないよ、なぁクロウ」
「まず会わねえとな、婆さんと」
三人が見つめる木の葉船は、遠くまで流れゆき、やがて見えなくなった。
「ラック達は『外』つまり、あんな異世界に行こってのかい!? 諦めてはなかったんだ! 人類歴史の授業で習ったなぁ。僕は行くなら、氷に覆われた大陸だなぁ……。そこで暮らしてみたいなぁ」
「クリス。君は僕たち三人についてこないか?」
「実際に行くのはなぁ……。現実味がないよ。過去文献を読む、これが楽しいしまだ読み足りないんだ。本は魔女様が寄贈してくださったものが図書館にたくさんあるでしょ?」
「そうかい。まぁ、僕もいずれ本を書く」
「その時は見せてね! ラック、応援してるから。協力はできないけど……。僕はもう行くね! 授業始まっちゃうよぉ!」
土手を一生懸命登るクリストファー。流石にもう間に合わない、と三人は思った。
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