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決 戦 JASAタウン
エレンを載せたEGGの打ち上げが1週間後にせまった、
春うららかな日曜日の午前十一時半。
僕が、
僕らが、
なぜここに来てしまったのか。
この期に及んでまだ僕は悩んでいた。
僕らはJASAタウンにいた。
あの日ドームおじさんが、
僕らにその日の締めくくりとして話したことが、
僕をここに連れて来た。
「私がJASAを去った本当の理由は、
開発中のEGGを事故で壊したことじゃない。
EGGは壊れれば作り直せばいい。
それよりも、
その事故がきっかけで目を覚まさなくなったエレンだった。
エレンが私のEGG開発の唯一人の犠牲者であることは事実だし、
どんな形にせよその責任は私が一生負わなければならない。
だが、
それは私がJASAを去る理由にはならない、
どのような立場になったにせよ、
JASAに身を置いたままそれを償う道もあったと思う」
「じゃあ、
なぜ辞めたんですか」
僕は問い詰めた。
「研究者としての限界を感じたんだよ。
あらゆる医学的、
科学的アプローチでエレンを検査してもエレンが目覚めない原因がわからなかったことは話したよね。
医学的にはエレンの体は何の問題も見つからなかったんだ。
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