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六人の顔を見て、人がいた安堵を覚えると同時に、おかしな点に気が付いた。
全員の頭、額に金属の輪がはめられているのだ。
中央部分が太く、横は細い。
「ん…?」
まさか自分にもと、頭に手をやれば、案の定しっかりとした金属の感触がある。
外れないものかと金属を探るが、引っ掛かる部分もない。
「触らないほうが良いですよ!」
持ち上げてみようかと、指に力を入れた瞬間、制止の声がかかった。
「え?」
「それ、外そうとしたんです。あの人。そしたら突然液体が出てきて…」
声をかけてきたのは、濃い茶色のパーマ頭の少年だった。
海斗から、ついと目線で床の男を示す。
「ァァ、……ァ、」
床には擦れた血の跡が、男の動きにあわせて増えていたが、次第に声も弱くなり、ぐったりとしていく。
ああなるかもしれない。
「マジかよっ!」
背中を旋律が駆け抜けて、海斗は素早く頭から手を離した。
「助け、呼んだんですけど誰も居ないみたいで…ドアも鍵かかってて、開かなくて…」
治療の道具も、方法もあるわけなく、今に至るという。
「なんなんだよ、ここ」
ようやく立ち上がって、呟いた海斗に、全員の視線が一斉に集まる。
探るような視線に、負けじと海斗も一人一人を見やるが、誰も答えてはくれない。
「わからないです。皆さんも、知らないんです」
最後にパーマの少年に視線を戻したが、困ったように眉を下げて俯いてしまう。
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