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もう一つの疑問、あんた達は誰なんだ? も全員が知り合い同士とも思えず、聞くことを諦めた。
こんな状況で、自己紹介をする気にもなれない。
「おい。こいつ、動いてないぞ」
海斗が長いため息を吐いたとき、誰かが息を呑んだ。
「え、嘘だろ?」
「冗談だよな?」
恐る恐るみんなが男の様子を伺うが、確かに声も聞こえない、動いていない。
「まさか、死んだ…んですか?」
パーマの少年は、小刻みに体を震わせている。
海斗はゴクリと喉を鳴らした。
信じられない。
心臓の動きが一気に早くなる。
「冗談じゃねぇよ。ザケんなよ、死んでる分けねえだろ。オラッ!!」
沈んだ空気を壊して、怒りの声をあげたのは、鋭い目付きの金髪の少年だった。
一人男を心配する素振りすら見せなかったのだが、いきなり近づいたかと思えば、倒れている男を蹴り飛ばした。
「!?」
あまりにも唐突な行いに、目を見張った面々は、瞬間全身をおぞましい感覚が走り向けていくのを感じた。
蹴った衝撃で、顔を覆っていた男の手が落ちる。
力なく、だらりとしたままの男。
その顔面は赤黒く焼けただれ、目鼻の凹凸さえはっきりとしない。
眼球は灰色に淀んでいた。
明らかに死んでいる。
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