第1章

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悲惨なその現実に海斗は目を背けた。 とても見ていられない。 他の少年達も同様だ。 「クソッ! こんな場所に居れるかよ!」 金髪の少年は一人、吐き捨てて、ドアへと向かう。 ガタン。 ガン!ガン!ガンッ!! ドアを蹴破ろうとするが、びくともしない。 「オイッ! おまえらも―――」 怒鳴りながら、金髪の少年が振り返った時。 プツ。 小さな音がして、突如事務机の横のテレビが点いた。 映ったのは、ピンク色のモコモコ、フワフワのうさぎのぬいぐるみ。 画面全体に、ただそれだけ。 金髪の少年は怪訝な表情でドアを離れ、画面が見える場所に引き下がった。 『ようこそ、忌まわしの旧校舎へ』 この現状に壮絶なほど似付かわしくない、ファンシーな物から発せられたのは、物騒な発言だが、可愛らしい少女の声。 『挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません。その結果、思わぬ形で一人の犠牲者が出てしまったことは、ワタクシの落ち度です』 うさぎのぬいぐるみでなければ、もっと伝わるだろうが、とても真剣な謝罪に思える。 .
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