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目を開けた途端、眩しい光にくらりときた。 「おいおい、寝ながら倒れるヤツがあるか」 呆れたような、それでいて優しさを含んでいる声が少し遠くから聞こえてきた。その後、とんとんと言う靴音が近づいてくる。 「まさか、また気を失ったか?」 独り言のような呟きが聞こえた直後、髪に誰かの手が触れた。 「起きてるっつーの――」 誰かの手を振り払いながら絞り出した声は、思った以上に掠れていた。喉がひりひりと痛む。 いや、喉だけではない。背中にもずきずきとした痛みがあった。 ――俺は生きているのか―― 驚きと憂鬱の混ざった気持ちでそんなことを想いながら、男はゆっくりと瞳を開けた。 簡素な部屋。カーテンから降りこむ日差しは朝の訪れを告げていた。 顔をしかめつつもいつもの癖で前髪をかきあげながら、自分のすぐそばに立っている人物を見やる。 たれ目がちの大きな瞳に、高さのある鼻。癖のあるややウェーブがかった黒髪が特徴的な整った顔をしている青年がそこにいた。さして上等でもなさそうなブラウンのスーツを品よくこなしているその青年の、肉厚の唇が開き、耳触りの良いバリトンの声が聞こえてくる。 「おはよう、気分はどうだ」
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