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何度も何度も窒息しそうなほどに口付けをして、焦らすように決して中へと指を進ませない。
螢の意図しないところで、体に欲しがらせる方が、よく濡れる。
だから、そこへ指を進めた時には、滑るようななめらかさがあって。
「アッ……か、つら」
跳ねる肩と、吐息混じりの声には痛みが無かったことが伺えた。
「やっ……んあっ」
指を動かせば、力の入る螢の体。
確めて、確めて……自分の我慢のギリギリが近いという理由で指を更に増やし慣らす。
唾液の伝う口元に、彼女の声を塞ぐよう舌を絡ませても……漏れる声は、止まることがない。
「螢……愛している」
彼女の中へをまさぐる指を止めた。
熱くて、堪らない。
息を荒くする螢が、涙を浮かべたまま力なく笑う。
「……私も、あ……ちょ、ま、まって」
「待てない」
焦らす分、自身も焦らされている。
扇情的な声を聞かされ、色艶のある表情を見せられ、愛しくて仕方ない螢の『初めて』に嬉しさが絡んでしまえば、何もなくても熱が待ちきれないと込み上げて。
体を繋げてしまいたい衝動しか残っていない。
「……愛してる」
荒れた息の狭間に紡がれた言葉。
螢の熱の混ざる声。
彼女は、恥ずかしそうに微笑みを作り泣いていた。
「……愛してる……」
たとえ、何があっても……大切にしたいと思った。
螢だけは、誰にも譲れない。
螢の何もかもが欲しくて、全てが私のものであって欲しくて。
その顔を見た瞬間に、螢なしには生きていけない自分でありたいと、心底思った。
螢が望むなら……何でもしてあげたいと思った。
螢が私の全てになると思っていたのは、そう思いたい自分がいたからで。
本当は……そう出来ないことを分かっていたからかもしれない。
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