隣の席の悪魔

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「誰にも言わないでね、友達にばれたくないの」 「別に、好きなのが友達にばれたって問題ないだろ?」 「あるよ! 絶対に馬鹿にされちゃうもん! 私、チビだし、可愛くないし、その…….胸だって無いし、髪だって短くて女の子っぽくないもん」 俺からすれば小さいところが可愛くて、胸が無いとは思うけどそれも含めて好きだし、そういうのを気にする所が女の子らしくて抱きしめたくなる。短い髪だって似合ってるしサラサラしていて撫でたくなる。 「周りの子みんなおしゃれで、キラキラしてて、可愛くて、お化粧もしてるのに、私は子供っぽいままで……嫌なの」 「そういうもんなのか?」 「そういうもんなの!」 そうやって言葉を繰り返してくる所も可愛いのだけど、気付かないものだろうか。 いくらか落ち着いた様子の早見と、向かい合うように椅子に座る。早見は抱えていた鞄にお守りをしまった。 「わかったよ。絶対に誰にも言わない。でも、だったらどうしてお守りなんて持って来たんだよ」 「それは……これをくれたの、その好きな人だから、いつも持っていたかったの」 落ち着き始めていた俺の心がまた抉られた。これは、もしかして既に付き合ってるパターンなのだろうか。お守りをプレゼントされる状況なんて全く想像がつかない。それとも、俺が知らないだけで男が女にお守りをプレゼントするなんて普通なのだろうか。 「夏祭りに行った時にね、友達を待ってる時に、神社のお賽銭の所でいきなりこれをくれたの。ちょっと話しただけだったんだけど……何だったのかなってずっと考えちゃって、気付いたら……」 あまりにも夢見る乙女の妄想のような話についていけなかった。そんな事で好きになってくれるならいくらでもお守りをあげたのに。 でもきっと、そういうことじゃ無いんだろう。そんなけしからん事をするような変態は一体誰なんだとイライラしてきた。 うっとりとしたような早見の表情を見ていられなかった。こんなことなら佐藤の言うとおり、想いを告げておけばよかったと酷く後悔する。 「そいつって、俺の知ってる人なのか?」 諦めていたはずなのに、いざそういう状況に立たされると諦めきれなくて、言われるより先に聞いていた。
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