第3曲 ノクターン嬰ハ短調第20番は切ないです

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僕は放課後になると、 早速バーテンダーを捕まえようと駆け出した。けど、バーテンダーのクラスは僕のところよりも先に終わっていて、彼はすでに帰宅していた。 今すぐこの幸せを言いたい! 有頂天とはこのことなのだろうと後からするとわかるんだけど、その時は嫌いなバーテンダーに対して異様なまでに関わりたいと考えていた。ただただ嫌味なやつにドヤ顔したかった。 僕は迷うことなく、バーテンダーの働くカフェに向かった。しかし、意気揚々とカフェに到着して入った僕は、すぐさま出端を挫かれた。他に客がいたのだ。 そう言えば、ここはお店だったなと二秒くらいしてから再確認する。危うく、有頂天に任せて騒ぐところだった。 「あ! いらっしゃいませ!」 と、恋音ちゃんが僕に気付いて挨拶してくる。それと同時に恋音ちゃんの近くにいたお客さんもこちらを見た。 そのお客さんは大人の女性モデルを彷彿させる美人だった。遠くからでもわかる艶のある茶髪と端正で小さな顔立ち。白シャツの上にロング丈の薄茶色のカーディガンを羽織り、明るいブルージーンズを穿いている。こういう海外セレブいそう。 目が合ったので、僕はすぐに目線を外す。駆け寄ってきた恋音ちゃんに案内され、テーブルに着いた。そのときにはもう興味をなくしたのか、女性モデルみたいな人はスマホの画面に視線を落としていた。 僕は恋音ちゃんにカフェオレを頼むと、いつものですねと笑顔で返されて撫でたくなった。無邪気な女の子を可愛がりたい欲求というか、この前も思ったけど、こんな妹がいたら可愛くて仕方ないだろうな。 でも、カフェオレを作るのがバーテンダーというのがなぁ…。恋音ちゃんがバーテンダーに注文を伝えている光景をなんとなく見てると、バーテンダーが視線とともに殺意を送ってきた。 いつも思うけど、なんで僕は嫌われているんだろう? いつも無愛想で、特に恋音ちゃんと僕が絡むとすこぶる機嫌が悪くなる。もしかして、妬いてるのかな? とにもかくにも、バーテンダーはよくわからないと僕は思った。
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