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日没は既に迎え、雲一つない月明かりが照らす公園。
日中は人々で賑わっていたこの場所も、すっかり静まり返っている。
時刻は22時を回った頃、昼間とは全く異なる雰囲気を醸し出し人気を寄せ付けない夜の公園に若い女性らしき声が響き渡る。
「――放してっ。 放してください!」
懇願する女性の声は自らの手を乱暴に掴む若者達に向けられたもの。
女性の外見、整った服装を見るに会社の帰宅途中なのだと察しがつくのは容易である。
「こんな遅くまでお仕事して――……危ないじゃないっすかぁお姉さん」
「知らないの? この辺はこわーい人がたくさんいて夜道に一人で帰るなんて危険ですよ。――なんなら、今からでも俺たちと一緒に遊びませんかァ?」
下品な笑い声をあげる三人組の男達の行動は次第にエスカレートしていく。
女性は助けを求める為に声を荒くする――。が、今の時間帯に人がいる筈もなく、その悲痛な叫びは静かな公園を響かせるのみ。
「おいっ、そいつ黙らせろ。人目のつかない所に連れてけ!――」
女性の両手を左右から一人一人が抑え無理矢理にでも連れて行こうと試みる。 女性の抵抗虚しく、男二人に強引に引き摺られていく最中――
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