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『鋼牙、油断するなよ』
ザルバの言葉に゙ああ゙とぶっきらぼうに返し、距離を詰めるべくホラー目掛け駆け出す。
対するホラーも魔戒剣を持つ鋼牙に臆する事なく一気に詰め寄り、大振りの右腕。
大の大人を軽く片手で持ち上げる程の腕力。 コンクリートを抉る事も造作もなく、並のホラーと言えどその力は計り知れない。
防ぐにせよ多少のダメージは避けられない。最悪、一撃で戦闘不能になる場合もあるのだ。
―――ただし、当たればの話だ。
迫り来るホラーの右腕を下から魔戒剣で斬り上げ、間髪入れず右肩から腹部へかけて振り降ろす。
一切無駄の無い洗練されたその動き。 一瞬の出来事に思わずホラーもたじろぐ。
――その表情は苦痛に歪み憎悪に満ちていく。
「カガオナサリシチゾコシイ、ソオンルア――(ただの魔戒騎士ごときに、このような――)」
――魔戒騎士とは文字通り、魔を戒める者。
ホラーの力は計り知れず、並の人間では到底歯が立たない。 ――だが、過酷な訓練を経て強靭な肉体、強固なる精神、そして、人を守るという信念が魔獣ホラーと匹敵する程の力を得たのだ。
『タダの魔戒騎士じゃあないぜ。コイツはお前たちが一番嫌いな―――』
そして、彼は魔戒騎士の頂点に立つ者――。
『―――黄金騎士だ』
魔戒騎士の最高位・牙狼の称号を持つ男―――冴島 鋼牙である。
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