序章 変わらない法則

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イルミナスによるテロの恐怖は消え去り、SEED襲来という脅威から開放されてからはや3年。 二つの諸悪の根源がもたらした災厄によって壊滅寸前にまで追い込まれたグラール太陽系の文明は、この短期間で一部の人々に安らぎと充実した生活を味わえるほどまでに戻っていた。 正直、あの最悪とも言える数々の大事件から、よくこの短期間でここまで復興できたと思っている。 イルミナスによるGコロニー落下事件と謎のウィルス散漫事件、それで何万という人が死に、何万との人や生物がウィルスに犯され凶暴化、化け物と化したか。 特にイルミナスがばら撒いたウィルス、後々SEEDウィルスと名づけられそれは、ただでさえ仲違いの多い種族間の亀裂に凄まじい追い討ちをかけたようなものだった。 キャストの暴徒化、ビーストの虐殺。 種族間のいがみ合いを利用したテロ、その犠牲者の数は、過去に行われたテロや戦争が陳腐に思えてくるほどの数だ。 まさにグラール太陽系の歴史に一生残るテロとなった。 更にイルミナスは同盟軍を利用しGコロニーを襲撃、圧倒的な軍事力になす術がなかったコロニーは惑星に落下。 ガーディアンズの必死の対応により、辛うじて居住区だけが切り離され本当の最悪の結果にならずに済んだものの、襲撃により多数の死傷者と前総裁であるオーベル・ダルガンの死去。 この結果グラールの平和を守ることを信念としていたガーディアンズの信頼は地に落ち、組織としての機能は停止、一部の惑星の治安は数日で最悪の状態となった。 種族の間柄は戦争勃発寸前の一触即発状態で、太陽系を代表する治安組織の信頼の失墜。 物資の行き届かないところでは、僅かな水と食料を求め略奪と暴力で溢れ、そうでない所はクソどもが欲求を満たすために、うまい物をちらつかせては好き勝手に振舞い、それにあやかろうとして若い女達は売春行為に走っていった。 最終的には本当の豚の餌になるということを知らずに。 ……あの頃はきっと誰しもが、明日なき命といった感じだったろうな。 だがあくる日、ガーディアンズ新総裁が決定してから事態は変わった。 バラバラになったガーディアンズを再び結集し、新ガーディアンズを結成。 そこからどんな血の滲む活動したのか、どんなうまい交渉をしたのか。
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