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「――で、何で泣いとるんや?わしが泣かしてるみたいやんか……」
山崎さんと歩きながら、涙が止まらなくなった。
「……気にしないで下さい……私だって、よく分かんない……」
友達なのに
疎外感
仲間外れ
結婚しないって言ってたじゃん
本当に胸がぐるぐるして分かんないのに涙が出る。
「何や……無理矢理嫌がる娘を、茶屋へ連れ込む助平じじいちゃうねんぞ……」
すれ違った女の人が振り返った。
「大丈夫……山崎……さんはじじいではない……ですから……」
山崎さんは足を止めて振り返った。
「……井上なら、さっきの女とは何もあらへん。借金の事で、店へ話に行きよっただけや。あいつ、ホンマに女に興味ないらしいからな……」
「――別にうっちゃんさんといたから、泣いてるわけじゃないですよ!」
「素直に言わな、あいつには伝わらへんで。伝えた所で結果は目に見えとるが……」
山崎さんの顔を見ていたら、大きなしゃくりが出た。
「……泣き顔はまだ見れるやんか……てか、早よ泣き止め!」
頷いて涙をふいた。
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