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どうしてこんなことになってしまったのだろうかと、黙ったままの野口さんに話しかけた。
「……皆は大丈夫なんですか?そうだ、沖田さんが怪我をしたって!」
「……大丈夫?ああ、沖田さん。棒で殴られて少し切れて、血が出ましたけど心配あらへんです……ああ、相撲好きやったんですけど」
野口さんは笑いながら、道に転がっていた角材のような棒を拾って端に寄せた。
「野口さん?大丈夫ですか?」
「俺?どこも怪我はしてへんで?」
つまずいてふらついた野口さんを支えると、額に触れた頬が熱い。
「……熱があるんじゃないですか?」
「大丈夫だって!」
突き飛ばされると同時に、店から山南さんと斉藤さんが顔を出した。
その後ろから残りの隊士も出てきたけれど、芹沢局長と平山さんと沖田さんがいない。
「私は近藤さんに話してくる。奉行所へも行かなくてはな……林君、局長の所へ案内してくれるか?福田君は……手がかかると思うが中の者を頼む。二階だよ」
返事をして二階へ上がると、三人は酒を飲んでいた。
「おお!福田君。見たか力士?壬生浪士組に手向かうなど、無礼極まりない。返り討ちにしてやった!」
芹沢局長はハイテンションだ。
隣で平山さんが、体を柱にもたれかけて、徳利で額を冷やしていた。
沖田さんは手拭いで額を押さえながら、とっくりに直接口を付けて飲んだ。
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