髪の毛

2/5

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
目がごろごろして、塵でも入ったかと鏡を見ると、 睫が入ってた。 そっと掴んで取ると……。  ずるっ   ……思いの外、というより睫にしては長い。  ずるっ、ずるっ、   引っ張っても引っ張っても、それは終わることがない。  ずるっ、ずるっ、ずるっ   随分引っ張って、総て出尽くしたそれ、 は一本の長い髪、だった。   ……いやいやいやいや。 まあ髪の毛だって目に入ることはあるのかもしれない。 然しこの長さは何だ? 如何みても俺の髪では、ない。 他人の髪が入るなんてことがあるのか?   気味の悪いこともあるもんだ、 そう思いつつもこのときは深く考えなかった。   二、三日経って。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加