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また、目がごろごろしてきて鏡を見ると、
また睫が入っている。
ずるっ
掴んで取ると、またずるりと出てきた。
ずるっ、ずるっ、ずるっ……
結局、出てきたのは前回同様長い黒髪。
……気色悪い、なんで?
そうは思ったが、原因にも、
そもそもこの髪の持ち主にも心当たりがない。
気味の悪いこの現象はその後も続き、半月くらい経った頃。
……不意に、この髪の持ち主がわかった気がした。
高校生の時、同じクラスだった――明美。
あの当時俺は、明美に惚れられて、散々な日々を送ってた。
告白されてきっぱりと断ったにもかかわらず、
毎日付きまとわれた。
一番堪えたのが、ラブレター。
一日も欠かさずげた箱に入れられ続けたそれ、には……
自分の、長い黒髪が一本、必ず同封されていた。
目から出てくる髪は、あの同封されてた、髪に似ている。
明美がいま如何しているのか気になって、
友人に電話してみた。
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