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肩が、腕が、
ずるり、ずるり、……
胴が、足が、爪先が。
「京介……」
……明美の手が、俺の顔を撫でる。
「うわあぁぁぁぁぁ!!!くるなあぁぁぁ!」
……そこにあった鋏を掴むと俺は、明美に突き立てていた。
明美は妖艶に微笑むと崩れ落ちて、……消えた。
結局俺は。
片目を失った。
あの日、明美に突き立てたはずの鋏は、
俺の目に深々と突き刺さっていたのだ。
けれど俺は清々していた。
もうこれで、髪の毛に悩まされることはない。
……しかし。
最近、残った片目が頻繁にごろごろするのはなんでだろう?
【終】
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