──岬──

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 ヒュー!! と歓声が上がり、同時に用意していたらしいよく振られた炭酸水らしきものが開けられる。泡が勢いよく夜空に舞い上がった。  ……まさかビールじゃないよな?  いやでも、この人たちならやりかねない。 「お前ら何やってんのー!?」  屋上に駈けあがって来た先生は、それを見て頭を抱えていた。  気の毒に思ったけど、俺と岬さんは顔を見合わせて笑ってしまった。  ────ひわ……そんな名前の鳥、いなかったっけ。  灯和、という岬さんの優しい名前を心の中で反芻する。お父さんとお母さんから一文字ずつもらったって言ってたから、そんな意味は含まれていないかもしれない。  でも岬さん、あなたは翼を持っているように、俺には見えるんです。香那に叶わない想いを寄せて狭い世界に閉じこもっていた俺が、こうしてこんなにたくさんの人に囲まれているのは、あなたの翼に運んでもらったからだと思ってる。俺の道標で、翼であるあなたに、俺は何をあげられるだろう。  とりあえず今あげられるのは、この胸いっぱいに広がる愛情だけだ。それを力いっぱいぶつけるから、覚悟しててください。
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