#2 MARVELOUS

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#2 MARVELOUS

「よーし! 今日はこれくらいにすっか! おつかれっ!」 リーダーであるドラム 藤崎優太(ユータ)の声が響きわたると みんな手にしていた楽器を下ろして声をあげた。 「……っしゃ――――!  終わった終わった! 文化祭まであと一週間!」 ギターの飯田寿(ヒサシ)が声をあげると ベースの菊池透(トール)が その長い髪をかきあげて微笑みながらこう言った。 「アサキの歌は絶好調だし……  これ……上級生おさえて、ガチで優勝狙えるかもな!」 「……って、いまさら何いってんのトール?  アタシマジで最初っから優勝狙ってるからw」 アサキちゃんがそう言うと、ユータが機材をバラしながら頷く。 「俺だってそう思ってるよ。  なんつっても俺たちは、優勝狙うために  わざわざアサキをスカウトしたんだからな!」 「そりゃそうよ!  アタシだってそのつもりだから、タメの中で  一番上手いアンタたちと組むことにしたんだからね!」 高校生離れしている彼らの演奏技術は 素人の私にも容易に気付く事が出来た…… 同じ年のバンドの演奏と比べても いや、三年生のバンドの演奏と比べても 彼らの演奏技術は群を抜いている……! そしてなによりも……アサキちゃんの神がかった歌声…… こんなに上手かったら きっとレコード会社の人たちだって 一発で彼らの演奏に釘づけになるはずだよ……! これが文化祭じゃなくて プロのオーディションだったらいいなと思うのは ちょっと贅沢すぎるかな……?
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