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やがて、長い階段の終着点が見える。
そこは小さな踊り場のような構造をしており、”一般生徒立ち入り禁止!”という大きな張り紙のされた、いかにも重そうな鉄扉を奥に構えている。
ちなみに『一般生徒』とあるのは、この学校で唯一屋上へ立ち入りが認可されている天文部の存在のためだ。
故に鍵は天文部の部長や先生しか持っていないはずだが、そもそもここはあまり施錠されていないことを私は知っている。これがいい事なのか否かは私には分かりかねるが、恐らく学校側は立ち入りを黙認しているのだろう。
「蒼ーッ!」
阻まれないことを知っているが故に、私は一段飛ばしで駆け上がった階段の終点から鉄扉までの距離を飛ぶようにして詰め、迷いもなく鉄扉に手を掛けた。
見かけに反して扉は軽く開き、私をその外側へと吸い寄せるかのように誘う。
薄暗い空間を裂いてなだれ込む眩い光と、ぶわっと吹き付ける屋上の強い風が、転げ出る私を飲み込んだ。
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