プロローグ

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共に学んだ高校のグラウンド。 サッカーボールを抱いた君が 眩しそうにカメラに向かってVサインを送る。 写真好きだった君が、 おじいちゃんから中古のライカを貰ったと 大はしゃぎで僕に自慢したんだったよね。 サッカー部の朝練の前に、 誰もいない校庭で 僕たちはお互いの写真を撮り合った。 モノクロームの写真は、 今でもあの時の鮮やかな君の表情を僕に伝える。 あの時、 君が写した僕の写真はどうなっているだろう。 写真は苦手だと嫌がる僕を追いかけて、 無理矢理シャッターを押したあの写真。 きっと苦虫を噛みつぶしたような顔で 写っているに違いない僕の写真を 結局、君は 僕に見せてはくれなかったね。
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