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「そうでしたか・・・。では、風が吹いたときのまわりの様子はどうしたか?」
ミツキは首を振った。
「すみません、見ていません。あまりにも強い風だったので、目をつむってしまいました。」
「そうですか・・・。声は聞こえましたか?」
「地鳴りがひどく、周囲の音や声も聞こえませんでした。とにかく必死でこの子を抱きしめてしゃがんでいたので・・・。」
ミツキはイツキを見やった。イツキは、すっかりパフェを食べ終わっていた。
「お嬢ちゃんは何か覚えている?どんなに些細なことでもいいんだ。」
イツキは注目されて少し緊張したのか、ペンダントをしきりに指でいじっている。
「そのペンダント・・・、不思議な模様だね。」
緊張をほぐそうと尋ねてみる。途端にイツキの顔が明るくなった。
「これ、イツキのお守りなの。お母さんにもらったんだよ!」
ずいっと腕を伸ばして、イトダによく見えるようにペンダントトップを突き出す。
「これは、ペンタグラムです。」
ミツキが補足する。
「いわゆる、星マークなのですが・・・。本来は、魔除けの意味を持つ印なんですよ。」
「へぇ。お詳しいんですね。」
「いえいえ、母から教わっただけです。これは、先祖代々ホシカゲに伝わるものなんですよ。」
占いやオカルトの類をあまり信じていないイトダは、半信半疑でペンダントトップを見つめた。目の模様が、少し不気味だなと思った。
「あ、おじちゃん。イツキ気付いたことがあるよ。」
「おじちゃん・・・。」
まだ20代後半なんだけどな。と内心思うが、イツキの言葉に集中する。
「あの夜ね、お空にお目目があったの。」
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