第2章

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 あるスタッフがエティアのことを『ダイアモンドの原石』と例えたことがあった。  私に良く見つけましたね、と言ってきたのだ。  その時は多少の違和感を感じながらも、明確な答えが見つからずそのままにしていたが、今なら違和感の理由がハッキリと分かる。  エティアはダイアモンドの原石などではなく、まさに花の種だったのだ。  原石は磨けば磨くほど光るかもしれないが、成長はしないし、他人の手によって磨かれるもの。  だが種は環境に左右されながらも養分を糧に、自分の力で花を咲かせる。  彼女はそう、気高く美しい大輪の薔薇の華だ。  私は知識を与え、環境を整えてきただけに過ぎない。  それらを養分とし、ここまで来たのは彼女自身の力だ。  彼女の華は豊満な蕾となり、もうあと少しで咲くところまで来ている。  最後の一押しは私ではなく、彼の役目だ。  彼の優しさが愛情があの子の天の邪鬼な性格とプライドと言う名の棘を少しずつ取り除き、華を優しく包み込んでくれたら銀河一キレイな薔薇の華を―――笑顔を咲かせ続けてくれることだろう。  私がそれを目にすることは無いかもしれないが、それを想像することはとても簡単なことだ。 「愛してるわ」  もう一度だけ、彼女に届いて欲しいと願いながら言葉を紡ぐ。  耳を澄まさなくても彼女たちの歌がこの惑星の大気を震わせ、大地を揺るがし、人々の心に響き、それがどこまでも広がっているのを感じ、すぐそこで歌っているようだ。 「銀河が震えている」  あの子の夢が一つ達成できたことに喜び、彼女の幸せを願いながら私はゆっくりと微睡みの彼方へと意識を手放した。 END
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