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ゆっくりと忍び足で薄暗い路地を進むと前方に一人の少女が踞り、じっと何かを見ていたので私も視線の先を追うと、大通りを行き交う人たちだった。
通りには週末の夜ということもあり、家族連れやカップルたちで賑わっていて、まさにこの路地とは対称的だ。
「何を見ているの?」
私が声をかけるとビクリと身体を震わせ、少しだけこちらを振り向くと立ち上がって逃げようとしたが、狭い路地に他に逃げ道は無く、大通りに出るのが躊躇われるのか懸命に逃げ場を探して辺りを見回している。
「驚かせてしまってごめんなさい。逃げなくて良いのよ。別にあなたは悪いことしてないでしょう?」
私が優しくなだめるように言うとやっとこちらを見るが、まだ警戒心は解かれていない。
見るとストリートチルドレンらしく髪はボサボサで着ているものもあちこち破れ、身体はもちろん顔も汚れていて良く見えない。
ふと手足にいくつもの内出血の痕が目についた。
「誰かにやられたの?」
腕の痣を指差して尋ねると、とっさに痣を手で覆った。
おそらくストリートチルドレンだというだけで、石などを投げられて着いたものなのだろう。
だからこんなにも人に対して臆病なのだ。
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