第1章 偽り

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「お願い、雪~!」 「……またかよ」 放課後、教室を出た途端、俺を待ち構えていたのは女の先輩。 「一生のお願い! 今日だけでいいの!」 「凛ちゃん、君の一生のお願いはもう使えませんよ~」 ついこの間も一生のお願い、使ったばっかじゃねえか。 ハエの如く手を刷り合わせる先輩を軽くあしらって足を進める。 マジで鬱陶しい。この人、香水がどぎついんだ。 「バイト代! バイト代弾むから!!」 「……マジで?」 「うん! いつもの倍出すから!」 「ったく。しょうがねえな、」 こうやって金に釣られる俺も、しょうがねえ奴、だな。
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