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課長が去って行った給湯室の中で、ドキドキと早鐘を打つ心臓を落ちつけようと深呼吸。 スー、ハー、スー、ハー。 うん、大丈夫だと営業部に戻ろうと思ったところにやってきたのは・・・杉山さん。 今日は会いたい人物に次々と会えるし、人のいないここで会えるなんてとってもラッキーだ。 テンションも上がる。 ラッキー、クッキー、やしろ・・・ バカタレ。 いないはずの課長の声が脳内に響いてハッとした。 「おはようございます。あの、金曜日は、とんでもないことを・・・すみませんでした。」 ペコペコ。 斉藤主任にもペコペコしたけど、もっとペコペコだ。 「やだ、新藤さん、やめてよ。むしろ、こっちがありがとうよ。」 ウフフと笑った形のいい唇に見とれる。 斉藤主任はきっとこの形のいい唇に吸い付いたに違いない・・・って何を朝から私は考えているんだろう。 「いえ、で、あの、醜態はどうかご内密にお願いします。」 「えぇっ!?あんなに面白くて可愛い新藤さんの姿なんて初めてみたのにぃ?」 お美しい杉山さんの形のいい唇から私を可愛いと形容されるのは恐れ多いけれども、その前の面白くてが・・・。 オーマイガー。 会社で面白キャラなんて狙っていなかったのに。 今まで培ってきた地味で真面目に働く姿が崩壊してしまったかもしれない予感。 「はははっ。」 「新藤さんに頼まれたら断れないわね。新藤さんのおかげで斉藤君と仲良くなれたし。」 「良かった、助かりました。酒乱だなんて噂になったら恥ずかし過ぎますから。あはは。じゃぁ、失礼します。」 杉山さんから逃げるように自分のデスクに戻った。 給湯室で課長に掴まり、杉山さんと話している間に時間が過ぎてもうすぐ就業時間だ。
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