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イトちゃんという強力な捜査員が昨日の昼から、先輩からきっとありがたいお話しをたくさん、聞きだしてるに違いない。
あぁ、今夜は絶対に速攻で会社から帰らないと。
そう考えながら名古屋の手前で電車を降りた。
バッグの中には、課長に買ってもらったブルーライトカットメガネ。
階段を降りると、壁と同化するかのように課長が立ってる。
ドキドキしながら近付いて。
「おはようございます。」
「おう、おはよ。」
朝の挨拶。
うん、普通だ。
さて、何を話すんだろう。
「みゅーさ、今夜って暇?」
「あっ、今夜は約束がありまして、残念ながら暇ではないんですけど残業でしたか?」
「ちげー、暇じゃないのかよ。じゃぁいいや。約束って何?」
「地元のお友達と女子会です。」
間違ってない。
むしろ、事実しかない。
「あっそ。楽しんでこいよ。つーか、お前も女子会とかすんだな。」
失礼な。
私にはお友達さえ存在していないと思われているのでしょうか。
それとも、女子会が似合わないと?
今夜の酒の肴は、アナタですって言ってやろうかと思わなくもない。
いや、大人の勉強会だ。
「はははっ、まぁ、なんて言うか悩み多き年頃なんですよ。」
「ぶはっ、この年で言うセリフかよ。」
笑う課長を見上げながら、平和だと思う。
課長の頭の中はきっと平和に違いない。
そうだ、せっかっくだから課長の顔でも写メっておこう。
イトちゃんに見せるんだ。
バッグからゴソゴソとスマホを出して、課長の横顔を撮ってやった。
うっしっし。
「いきなり撮るなよ。それ、どうするんだよ。」
「お友達に見せてあげようと思いまして。この前と昨日、お友達の彼氏さんを見かけましたから。お互い様です。」
「つーか、俺もみゅーを撮りたい。」
「やですよ。止めて下さいよ。」
撮る、撮らないの攻防を続けながら歩く私達は傍から見たら多分、バカップル。
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